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帰化申請で不許可にならないために

更新日:11月5日

帰化申請で不許可にならないために大切なことをご説明します。


不許可になってしまう確率は?


先ずは、法務省から公表されている帰化申請の推移表に基づくグラフを作成しましたので、ご覧ください。

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グラフの赤色折れ線が”不許可者数の割合”、つまり不許可率です。このグラフでは、

 不許可率 = 不許可者数 ÷ ( 許可者数 + 不許可者数 )

で計算しました。

 不許可率 = 不許可者数 ÷ 申請者数

ではありません。ちょっと細かい話になりますが、、、法務省の公表している表では、

 申請件数 ≠ 許可数 + 不許可数

となっているからです。これについて考えられることは、一般的に帰化申請の審査期間は1年ほどかかっていますので、申請した年と結果が出た(つまり許可または不許可となった)年が異なることが原因ではないかと思っています。それと、許可でも不許可でもないケース、つまり取下げもあるでしょう。


不許可率は、2019年まではおよそ5~7%で推移してきました。しかし2020年・2021年はそれまでと傾向が変わって大きくなり、不許可者数の実数も増えています。この間はコロナ禍でしたが、だからといって法務省の審査基準が変わることは無いと思いますので、許可要件を満たさない人の申請が増えたのではないかと推測します。2019年7月に入管が行った審査基準変更により、永住許可申請の許可が下りにくくなったことが、無理な帰化申請の増加につながっているのかもしれません。

このような状況から言えることは、無理な申請でない限り、不許可になってしまう確率は5~7%と考えてよいかと思います。



帰化申請が許可されるためのポイントは?


帰化申請が許可されるための重要なポイントは、以下の7つです。

  1. 継続して5年以上日本に居住している 原則として5年間のうち3年間以上は、就労系の在留資格により就労して安定した収入を得ていることが求められます。ただし「技能実習」、「特定技能1号」は一定期間後に母国に戻ることを前提としたものなので、5年間にカウントすることは出来ません。 なお、日本から90日以上連続して出国していた期間があったり、任意の12か月のうち100日以上出国していたことがある場合は、継続していないと判断されます。

  2. 18歳以上で、母国の法律によって行為能力を有する 「行為能力」とは、単独で物事を適切に判断できる能力のことを言い、日本の民法では18歳以上で(つまり成人になったら)行為能力を有すると定められています。そして、帰化申請者の母国の法律においても成人年齢に達している必要があります。世界の多くの国は日本と同じ18歳ですが、例えばシンガポールは21歳、アメリカ合衆国は州により異なるようです。

  3. 素行が善良である 犯罪歴について…軽微な犯罪で5年経過後、禁錮以上の実刑の場合は刑の執行後から10年経過後であれば申請は出来ますが、不許可の可能性は高いと言わざるを得ません。 税金や社会保険税の納付…過去に滞納があった場合、不許可の可能性があります。配偶者や、会社経営者の場合は会社の納税状況も審査対象となります。 交通違反について…自動車運転免許を持っている場合は「運転記録証明書(過去5年分)」を提出する必要があります。次のいずれかに該当する場合は、不許可の可能性があります。 免許停止や取り消しになったことがある 飲酒運転や人身事故を起こしたことがある 直近5年間で違反件数が3件以上ある 過去に軽微な違反があっても、直近3年間で違反件数が0件であれば、問題ありません。 免許停止になったことがある場合は、5年経過後に申請することをお勧めします。

  4. お金の面で生活に心配がない 法務局から明確な基準が公表されているわけではありませんが、最低でも年収300万円程度は必要です。さらに扶養家族がある場合は、1人当たり60万円加算する必要があります。ただし、永住許可申請では認められなかった配偶者の資格外活動によるアルバイトの収入は、合算することが出来ます。

  5. 日本国籍の取得によって、母国の国籍を離脱できる 帰化申請者の意思だけではなく、母国の法律においても国籍離脱可能でなければなりません。例えば、兵役が終わらなければ国籍離脱を認めないというような国もあります。

  6. テロリストや反社会的勢力ではない 申請者本人だけでなく、親族や、会社経営者の場合は取引先なども審査の対象となります。

  7. 日本語能力に問題がない 日本語能力試験N3レベルが必要です。

帰化許可申請は、居住地を管轄する法務局に行います。入管への申請とは異なり、必ず本人が法務局に直接出頭する必要があります。

東京の場合は、およそ半年先の予約しかできませんが、Webで公開されている資料をすべてそろえることが出来れば、法務局にはその予約した1回行くだけで済むこともあります。

東京以外では、法務局に2回行くこととなります。1回目は必要書類の指示を受けるため、2回目は書類の提出や担当官の面前での署名のためです。

共通することは、書類に不備不足があった場合は、再度の出頭が必要です。行政書士の同行の可否は、法務局により扱いが異なるようです。

申請書類を受理してもらった後は、1~2か月後に、法務局の審査官による面接があります。ここでは、日本語の語学力の確認も兼ねた質問などが行われます。ちなみにこの場に行政書士の同行は拒否されています。

その後、法務局の審査官が自宅を訪問することもあります。



申請が受理されたら終わり、ではありません!

上記の1~7の全てが満たせる場合であっても、以下のような事があると不許可になる可能性が高くなります。

  • 申請受理日以降の生活における変更事項を報告しなかった (婚姻・離婚・出産、引越し、転職、出国・帰国など)

  • 年金や税金を滞納した

  • 納税額を過少申告をした or していた

  • 交通違反・事故や犯罪を起こした

  • 追加書類の提出に応じなかった

  • 90日以上連続して出国した

  • 面接で日本語能力の不足していると判断された

例えば、申請受理日の時点で勤務していた会社を退社して新しい会社に就職した場合も、報告の必要があります。ただし、新しい会社での賃金が下がってしまうという場合は、「お金の面で生活に心配がない」のポイントで審査上は不利に働くかも知れません。

うっかりと駐車違反のキップを切られた場合も、法務局に報告することをためらってしまうかも知れませんね。

しかし、報告を怠ることそのものが『素行が善良』ではないと判断されて、結果として不許可になってしまう可能性が高くなります。


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